乃波木さん
今日のうめかさん vol.1
- 写真家・乃波木(のはぎ)さん
- 写真家・イラストレーター・エッセイスト
1979年 東京生まれ。幼少期はインドネシア、芦屋と移り住む。13歳の夏に母と二人で能登半島(旧柳田村)に移住。能登の原風景に魅了される。石川県立工業高校工芸科で伝統工芸を学び、東京造形大学写真専攻を卒業後、広告制作会社amanaに入社。アシスタントを経て2002年に独立。 - 現在どういった活動をされていますか?
- 仕事は写真がメインです。金沢では新幹線の公式動画ミュージックビデオを制作しました。
また季刊誌「能登」にてフォトエッセイ「大波小波」を連載しています。昨年2019年 10年間温めていた自伝的小説「い〜じ〜大波小波」を出版しました。現在は能登出身の画家と結婚して金沢に住んでいます。 - 写真家になったきっかけは?
- 母と二人で何にも持たずに旧柳田村に移住してきました。多感な時期に圧倒的な能登の自然と、温かい人達に触れたことで、芸術や工芸に興味を持ちはじめたのが始まりですね。
早く手に職をつけたかった想いもあったのかもしれません。学校へ通うために、一人金沢に来たのが高校生の頃。下宿先で一人暮らしをしながら、石川県立工業高校工芸科で3年間、漆や染色、ガラスや陶芸などの伝統工芸の勉強をしました。もともとは就職するつもりだったのだけれど、母や先生からの強い薦めもあり、写真や映像関係を学ぶために東京造形大学視覚伝達学科に入学しました。経済的なこともあって、周りには1、2年しか通えないと公言していたくらいで、もちろん奨学金ももらい、バイトもしながら、学ぶことを優先してがむしゃらに4年間頑張って卒業しました。それから写真家として活動し、自分のテーマとして「能登」を撮り続けています。 - なぜ金沢に住んで働いていますか?
- 東京から帰ってきて、この金沢に落ち着いて6年くらいです。それまでは能登、金沢と東京を行き来していました。東京では主に芸能人のインタビューや雑誌の写真など様々な仕事を手掛けました。やっぱり最初は仕事として場数を踏んで、たくさん経験を積みたかったんですよね。4年間全力で取り組んで、自分の写真集も出版して形になった頃、石川県から「乃波木さんにお願いしたい!」と言うお仕事をたくさんいただくようになりました。これからは自分らしい、私だからという仕事がしたくて。能登では作品に最も集中できるけれど活動に制限があるので、金沢に帰ってくることを選びました。金沢では人のつながりが持て、また応援してくれる土壌もある。気持のサポートをしてくれる方も多いです。
- 金沢の好きなところは?
- まち全体が好きです。東京とも、能登とも違う。美術館も多いし、芸術家や作家もたくさんいて、ネットワークがある。ただ交流はあるけれど、近すぎない、田舎すぎない距離感が心地いいですね。
今にして思えば、女性がひとりフリーランスとして仕事するにはとても辛い時期がありました。東京時は時間の流れが早く、あっという間に時間は過ぎていく。だけど金沢では自分と向き合い、しっかりと考える時間がある。住宅環境もよくて、私はひとりで一軒家に住んでいたので、部屋が広くて寂しさを感じることもしばしば。でもそんな時こそモチベーションが上がって創作に集中できたし、仕事のバリエーションも増えた気がします。足りないものを補うように、自らのパワーを引きだし、イラストも小説もみんなが喜ぶものを作り上げることで、自分自身も満たされていたのかもしれません。
- 今とこれからについて。
- 昨年芸術家の方と結婚しました。夫の個展の時にはギャラリストみたくなってます。元々大学時代に学芸員の資格を取っていて、将来はギャラリーに関わることがあったらいいなと思っていた時期もあったので、こうして今に繋がるのかと驚いています。会期中はお客さんと一緒に絵を味わう楽しさを感じています。これからもし母になれたら見たり感じる世界はまた変わるでしょうから、その時にはまたやりたいこと、できることがひらめいたらいいな、と思っています。
- ほっと一息つける金沢スポットを教えてください。
- <本多の森>
県立美術館から21世紀美術館に坂道をまっすぐ降りずに、少し遠回りして階段を降りていく。金沢の中でも静かに入れる場所。人目を気にせず自然を楽しめます。木も大きくて大木に寄り添ったり、川の流れを聞きながら、じっとしていなくても堪能できるところが好きです。
<天徳院の庭>
苔むした庭に雨が上がり光が入ると、キラキラと輝くのがとても美しい。数分見ているだけでリラックスできます。寄り道して見に行っています。
- かなざわハイカラクッキーはいかがですか?
- 外箱のデザインがとても粋ですね。どの柄も可愛いです。色合いもいいし、わたし能登だからか能登塩に惹かれます。
抹茶とピスタチオはカフェオレに合う。紅酒粕ラズベリーは紅茶に。能登塩と柚子は日本茶やハーブティーに合うと思います。能登塩と柚子が特に好きです。 - 中 乃波木さんの創作物
- 写真集: 「Noto」出版(FOIL刊)
絵本 : 「もじもじものがたり」
書籍 : 「い〜じ〜大波小波」ロクリン社刊
Official hp: https://nohagi.com