Interview

がんばる金沢の
女性たちの物語。

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まみの さん

今日のうめかさん vol.2

多々見まみの さん
季節料理と和み酒 十二の月 女将
プロフィール
金沢の中心繁華街 片町で季節料理と和み酒 十二の月で女将をしています。また、西茶屋街では町屋を改装した 日本酒BARも営んでいます。
現在の活動のきっかけは?
亡き父は同じく片町で『日本料理 福よし』という料亭を経営していました。その姉妹店の『居酒屋ろくべえ 』の店長として働き始めたがきっかけです。
もともとはS Eを目指して情報処理の専門学校へ入学し、その後駅の百番街(現在のRinto)にある服飾店で洋服のバイトを始めました。やりがいを感じて洋服のバイヤーとなり、上を目指したくなって都会の配属を希望しましたが受理されませんでした。金沢に残る中、家族の勧めで道路公団(現在のNEXCO)や市役所へ就職したのですが、今までの職場との違いの中で自分が浮き立っているような気がして。その後、父から店長をやってくれないかと頼まれて家業を継いで飲食業界に入りました。
当時を振り返ってどうですか?
私が店長として入った時、『居酒屋ろくべえ』は客単価も低く芳しい状態ではありませんでした。O Lから一転店長になりましたので、ドリンクの作り方からクレームの処理の仕方もわからなくて毎日怒られながらの日々でした。特に厨房は本当に厳しい職人が多く、「何にもわからないやつが!」と言われしんどい思いもしましたよ。料亭の方は家族的な関係ですごく良い雰囲気でしたから余計に辛かったですね。それでも「私は確かにプロではない。でも、だからこそお客様目線で店を見ることができる。」と必死に喧嘩しながら、お客様の望んでいることや食べたいメニューを改善して切り盛りしました。そうこうして、2年経った頃にようやく起動に乗りました。
今は旦那さんとお店を切り盛りされていますよね。
現社長である夫は今の店の板場を仕切っていますが、もともと料理人ではありませんでした。技術系の専門学校の同級生でしたから。夫は仕出し部門を立ち上げたときに入社してくれました。それから料理を学び始めたのですが、寝ずに働き、血も滲むような努力をして料理人になりました。今では平安から続く日本料理の流派 四條流包丁儀式の包丁師にまでになりました。ちなみに今日お食事している『せい月』さんは師匠にあたります。私たちが結婚した後、父が亡くなり、いろいろ複雑な事情が重なり、料亭は手離すことになったんです。最後に残ったのは私が頑張ってきた『居酒屋ろくべえ』だけでした。私たちはこれまで頑張ってきたこのお店を自分たちの理想の店舗にしようと決意し、各地の料理店を視察したり、たくさんの方にご指導いただいて16年前に『季節料理と和み酒 十二の月』としてをオープンすることができました。
まみのさんは唎酒師なんですよね?
職業もありますが、もともとお酒は大好きでした。だけど勉強してまでということはなかったんです。ある時酒屋さんから誘われてお伺いした酒蔵さんがとても印象的でした。
車多酒造さん(http://www.tengumai.co.jp)なのですが、雰囲気もよく、作られている工程や酒作りの大変さに感銘を受けました。こんなに苦労しているものを私は気軽に飲んでいたのかと。それからはお酒にのめり込み、日本酒アドバイザーと唎酒師を独学で学び、ようやく資格をいただきました。
そして2016年に西茶屋街に『晩酌 多わ々』をオープンすることができました。
私が厳選した各地から取り寄せた素晴らしい日本酒と同じく国産のワインを、町屋を改装した和空間で美味しい和の肴といっしょに楽しんでいただけます。
やりがいはなんですか?
お客様に「ありがとう。」「美味しかったよ。」とおっしゃっていただく事がすべてです。本当に思っていないとお言葉にしていただけないですから。
これからの活動は?
時代の変化がすごいスピードで訪れています。金沢にもUber EATSがスタートします。インバウンドの方々に向けたメニュー作り、また来ていただけるような店舗作りなど、私たちはその大きな波に対応していけるしなやかな経営をしていかなければならないと考えています。
金沢の好きなところ
金沢はもともと前田のお殿様が治めた武家の町で、たくさんの文化が生まれた土地。茶道、陶芸や漆器に代表される伝統工芸、加賀友禅など。その様々な文化が融合して、江戸や上方とも違う独特な文化が根ざしています。それらが生活に溶け込んでいること。また日本文化を知りたかったら町中にリソースがあります。そういうところが大好きです。
ほっと一息つけるスポットを教えてください。
すごくベタなんですが。寺町にある忍者寺(正久山 妙立寺)です。30年前に行ったきりでしたが、先日女将の会で、いつでも観光客の方に金沢をお伝えできるように改めて伺いました。とても案内の仕方が上手になっていてびっくりしました。仏に対しての信仰も厚さをとても感じられるのですが、やはり徳川幕府との決戦を想定されて作られており、随所に武家社会である加賀藩の歴史を学ぶことが出来ました。特に中からは出ることが出来ない切腹の間はすごいです。昔の人の頭の良さに感動しました。

いつも見ている犀川も大好きです。私はこの川で泳ぎながら育ちましたから(笑)。昔はすごく綺麗だったんですよ。今でも落ち着く場所です。
かなざわハイカラクッキーはいかがですか?
特に「能登塩と柚子」がすきです。これからうちの店でも販売する予定なので、お客様にも感想を聞きますね。
多々見まみのさんの店舗
十二の月
https://www.jyu-ninotsuki.com
和酒 多わ々
http://www.kanazawa-tawawa.com