Interview

がんばる金沢の
女性たちの物語。

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奈穂子さん

今日のうめかさん vol.6

辻 奈穂子さん
石川県小松市出身
地元高校を卒業後、大阪の大学へ進学。地元内装工事会社に就職後、アジア歴訪の旅に出てそのままタイに留学。その後実家である「滝本茣蓙店」にて日本の古くからある道具と異国の良いものと組み合わせたインテリア、ライフスタイルを提案している。
◯ 現在どういった活動をされていますか?
ちょっとしたお部屋のスペースに、季節のものや日本やアジアで見つけたアイテムを取り入れる事で生活にうるおいが生まれます。そんな癒される空間をインテリアプランナーとしてお客さまに提案しています。
◯ 滝本茣蓙店さんについて教えてください
滝本家は応仁の乱の頃よりの家柄で中興の祖、滝本石見は鋳物(金属を型に流しこんで製品を作る技術)を生業としてきました。私の住んでいる小松市は前田家が殖産奨励したこともあり、「い草」がたくさんとれました。江戸中期の滝本石見はその頃評判の鋳物師でしたが、新たな挑戦としてござ屋を開業しました。店のある龍助町は昔はござストリートとして栄えたそうで、20軒程問屋があったそうです。当時の生活スタイルは和室がほとんどで、たたみの部屋も多かったため、県外にも出荷して繁盛したようです。その後、父が25代目として後を継いだ頃には、生活様式も洋風スタイルに少しずつ変わってくると共に、ござの需要も減っていき、うち一軒になりました。
昭和43年に京都修行から帰った父はより良い商材はないかと探して、昔から変わらない飛騨高山の街並みを視察したときに見かけた民芸家具、民芸雑貨に感動して、これを持ち帰って販売したら面白い店になるんじゃないかとこれまでのござと共に和のインテリアを提案するお店を作りました。
とても斬新だったようでたくさんの方が買いに来て下さいました。
◯ 素晴らしいですね。異国の商品も多いようですが。
父はある時神戸に行く機会があって、そこで出会ったイタリアガラスやスペインの陶器、インドのアクセサリーやその他アジアの布地などの“ハクライモノ”に衝撃を受けたようです。また新しい商品をお客様に紹介できると、日本のものだけではない魅力と新鮮味のある商品を仕入れてお店にたくさん並べ販売しました。わたしも小さい頃に学校を休んで仕入れに一緒に連れて行ってもらいました。あの時の見たもの、外国から入って来た見たこともない数々の商品、インド人の問屋さんの独特の匂い、たくさんの素敵な異国文化に触れた感動は今でも忘れません。この経験が今のわたしの商品を仕入れる感覚や商売を養えたのかなと感じます。
◯その後はどうされたのですか?
高校卒業後、関西の大学に進学して英語を勉強しました。卒業後、わたしはインテリアがもともと好きだったこともあり、地元の内装工事会社に就職しました。
その頃、父のお店でもアジアの雑貨商品も扱うようになっていて、作られている国を見たくなったわたしは、長いお休みの度に、インド・タイ・ラオス・ベトナムなどアジア各国を旅しました。その中でもタイが一番好きで、この国に住んでみたいと思い、3年間働いて貯めたお金を持って思いきってタイに留学することにしました。バンコクでアパートを借りて語学学校に通いながらマーケットを散策する日々。とても刺激的でした。
◯ タイはどうでしたか?
タイは本当にエネルギッシュで、人柄が元気で人なつっこくて、2回会ったらベストフレンドぐらいの人達。都会のバンコクの生活も楽しかったけれど、留学して2ヶ月町中のマーケットも行き尽くして、もう少し違う場所も見てみたくてチェンマイに引っ越しました。チェンマイは日本の京都みたいな所で、寺院も多く、古くて根付いたものが好きで、掘り下げたタイが見たかったわたしにぴったりな街でした。
たくさんの経験をしてお金も尽きて、お店のスタッフが退職するというきっかけもあり、帰国してお店に入りました。アジアに注目された時代背景もあって、わたしが留学したことでタイからの雑貨の仕入れルートも作れたこともあり、アジア雑貨・家具を中心的に入荷して今の店のスタイルができました。
◯ これからどういうお店を作りたいですか?
私は、長く続いてきたこの家を守りつなげていくことが使命だと思っています。
ブームのように大きく広げるということではなく、お客さまに寄り添って、滝本茣蓙店の本質であるござ、すだれやのれん、うちわや風鈴などの古くから伝わる日本の文化にのっとった生活用品に、異国から仕入れた商品やアンティークなどの古くて良いものを組み上げた独自のスタイルを提案したいと思っています。

最近ではござも知らない世代もたくさんいます。日本の古くて良い文化やインテリアをどう伝えていくのかがわたしの仕事だと思っています。
◯最近は街単位での活動もされていますね。
今この小松市の竜助町の商店の方たちで北国とおりまち賑わい部を立ち上げています。地元で活躍している焼き菓子屋さんをお呼びして座敷でお茶を楽しむ体験ができるイベントを企画したりして、この町に来てくださった方が各お店を楽しんで、そしてストリートとしても楽しるような取り組みをしています。
◯ 石川県の好きなところは?
山、温泉好きなところはたくさんありますが、白山市にある「比咩の湯」がお気に入りです。いくまでの道のりで季節の山野草を見たり、空気も綺麗で癒されます。泉質もヌルッとして気持ちいいです。近くでお蕎麦を食べてから、お風呂に入るのが定番です。
◯ ほっと一息つけるスポットを教えてください。
またお風呂の話になるんですが、小松市にある「今江温泉」が大好きです。
昔ながらの銭湯なんですが、電気風呂があるんです。疲れたときにはビリビリと来るのが最高です。お風呂上がりのコーヒー牛乳がまた格別です。
◯ かなざわハイカラクッキーはいかがですか?
どれも本当に美味しかったのですが、お気に入りは「紅酒粕とラズベリー」です。ホロホロした口当たりがとても食べやすくて、ラズベリーの甘酸っぱさとクッキーの真ん中にまぶしてあるお塩が絶妙なバランスでとても美味しかったです。ワインのお供にもぴったりでした!